愛と死の物語の“物語” CARMEN

Noism1×Noism2合同公演 劇的舞踊『カルメン』

ABOUT CARMEN 劇的舞踊『カルメンについて』

 これまでオペラやバレエなど、幾度となく作品化されてきた「カルメン」の物語。そのまさに原点であるプロスペル・メリメの原作に立ち返ろうとしたのがNoism版「カルメン」である。
  作者メリメを投影する考古学者の「私」のひとり語りによって、ドン・ホセが死を前に告白する「物語」を「物語」るという、原作の入れ子状の構造に忠実に脚色。俳優が学者のモノローグを語り、ホセの回想シーンの一部は、スクリーンに投影された影絵や映像によってメリハリをつけて表現される。
  さらに、原作ではほとんど触れられていない許婚のミカエラ(オペラ版の役名である)や、残忍さだけが強調される元夫のガルシアなど、脇役の人物像にも丁寧に光を当て、生き生きと演出をほどこしている。メリメの原作では主要な登場人物であるカルメン(流浪の民ロマ)、ホセ(バスク人)、そして「私」(フランス人)を、生粋のスペイン人ではない外来者に設定している。その背景には、混迷のナポレオン3世の第二帝政時代、ヨーロッパに吹き荒れた民族主義の高揚があるともいわれる。そしてさらに芸術監督・金森穣がそこへ書き入れたのは、生まれながらにして自由意思をもつ野性の存在である人間のあり方への讃歌とも読み取れるのだ。

STORY LINE あらすじ

調査旅行でスペインを訪れた考古学者は、山沿いでお尋ね者の男ホセを助ける。その後コルドヴァに逗留した学者は美しいボヘミアの女カルメンに惹かれ、導かれるまま彼女の家で怪しげなカード占いに誘われるが、そこへ現われたのは偶然にもその男ホセであった。やがてマドリードに向かう途中、僧院に立ち寄った学者は、神父からホセが捕まり明日に絞首刑にかけられることを聞く。学者は神父に頼みこみ、懴悔の前に彼をたずねる。するとバスクの男ドン・ホセ・リッザラベンゴアは、宿命の女カルメンとの出会い、そして転落の人生について語りはじめるのだった…。

CASTING キャスティング

カルメン〈野性の女〉
井関佐和子
ホセ〈理性の男〉
中川賢
ミカエラ〈許婚の女〉
石原悠子
スニガ〈権威の男〉
佐藤琢哉
リュカス〈我欲の男〉
吉﨑裕哉
ロンガ〈同郷の男〉
チェン・リンイ
ドロッテ〈謎の老婆〉
池ヶ谷奏
メルセデス〈異父の姉〉
梶田留以
フラスキータ〈異父の妹〉
田中須和子
マヌエリータ〈仇敵の女〉
飯田利奈子
ガルシア〈極道の男〉
山田勇気
兵隊の男たち
リン・シーピン、上田尚弘
ジプシーの男たち
髙木眞慈、山下菜奈
街娘たち /ジプシーの女たち
浅海侑加、鳥羽絢美、
西岡ひなの、深井響子、
西澤真耶
学者〈博識の老人〉
奥野晃士

相関図

相関図

CHARACTER キャラクター

カルメン

Carmen

野性の女。ジプシーの女でボヘミア人。黒ずくめで、吸い込まれるような獣の目をしている。長く伸ばした髪もカラスの羽の光沢のごとく艶々と光っている。カルメンを初めて目にした学者曰く、欠点が一つあるごとに、一つの美点を持ち合わせており、その美点が対照によってかえって美しさを発揮している。この不思議な野性的な美しさは、一目見た者をまず驚かすが、決して忘れることのできない顔立ちであるという。その美貌と野生的な魅力によって様々な男たちに言い寄られているため、カルメンのことを良く思わない女たちも多い。他人に左右されることなく、自らの直感に従い行動するため、凶悪な犯罪者として投獄されていた前夫であるガルシアの脱獄の手引きをしたりと、大胆な行動を取ることもしばしば。街娘たちと同じく葉巻工場で働いており、工場の衛兵であるホセに興味を持つようになる。

カルメン
ホセ

ホセ

José

理性の男。スペイン北部に位置するナヴァラ地方の町、エリソンド出身のバスク人。もとは貴族の生まれで、本名は、ドン・ホセ・リッザラベンゴア。ポーム(テニスの原型となったスポーツ)を巡る賭け事にはまって故郷を追われ、竜騎兵に志願。元来の勤勉で注意深い性格も手伝ってか、入隊後まもなく伍長となった。スペイン人中心の隊の中で、真面目に仕えていたこともあって順調に出世道を進んでいるかのように思われたが、セヴィーリャの葉巻工場の衛兵に回され、これが彼の一生を大きく変えることとなる。カルメンとの出会いをきっかけに、罰一つ受けずに勤め上げてきたこれまでの日々を棒に振り、転がり堕ちるように破滅の道を進んでいく。学者が初めて彼に出会った時には衛兵であった頃の面影はなく、その首にはすでに懸賞金が掛けられ山賊となっていた。

学者

Arqueólogo

博識の老人。この物語の語り手。ジプシー研究のため、スペインのアンダルシア地方で旅をしている。コルドヴァにて、木陰で身を潜めていたホセと出会い、葉巻をすすめたことをきっかけで彼を取り巻く現状とその中心人物であるカルメンに興味を持つ。ホセが懸賞金の掛かった山賊と知りながらも、彼の人柄に惹かれ、追っ手から逃がすなどの大胆な行動も取る。「カルメン」の原作小説の著者で、考古学者としても有名なフランスの作家プロスペル・メリメ(1803~1870)がモデルとなっている。

学者

すべてのキャラクター、キーアイテムの解説は公演会場にて販売するプログラムにてご覧いただけます。

劇的舞踊『カルメン』プログラム  1,000円(税込)

・作品あらすじ
・全キャラクター&キーアイテム解説
・寄稿「カルメンから醸成される、舞台芸術の豊潤なよろこび」
住吉智恵(アートプロデューサー・ライター)

and more…!

劇的舞踊『カルメン』プログラム

MOVIE ムービー

初演ダイジェスト

初演クリエーション

INFORMATION 公演情報

Noism 1&2

Noism1×Noism2合同公演

劇的舞踊『カルメン』 再演

演出振付:金森穣(Noism 芸術監督)
音  楽:G. ビゼー《カルメン》 オーケストラ版&組曲版&交響曲版より
衣  裳:Eatable of Many Orders
家  具:近藤正樹
映  像:遠藤龍
出  演:Noism1 & Noism2、奥野晃士(SPAC- 静岡県舞台芸術センター

新潟公演

日  時:1月29日(金)19:00、1月30日(土)17:00、1月31日(日)15:00
会  場:りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館〈劇場〉
入場料:一般 S席4,000円 A席3,000円  学生 S席3,200円 A席2,400円(全席指定)

神奈川公演

日  時:2月19日(金)19:00、2月20日(土)17:00、2月21日(日)15:00
会  場:KAAT神奈川芸術劇場〈ホール〉
入場料:一律5,500円(全席指定)

チケット:りゅーとぴあ オンライン・チケット   http://www.ticket.ne.jp/ryutopiaticket/
チケット専用ダイヤル  025-224-5521(11:00~19:00, 休館日除く)
e+イープラス     http://eplus.jp/kaat/
チケットかながわ  http://www.kaat.jp/ ※神奈川公演のみ

※その他プレイガイド詳細は各公演情報ページにてご確認ください。

2014年初演舞台写真

photo:Kishin Shinoyama

^