11月5日(土)に新潟市西区の東青山小学校にてNoismからだワークショップを行ないました。
今回は、東青山小学校PTAの皆さんからのリクエストを受けて実現したワークショップで、
「親子芸術体験講座」の一環として親子で一緒に体験するからだワークショップとなりました。
講師はNoism2専属振付家兼リハーサル監督の山田勇気が務め、Noism1メンバーの中川賢、池ヶ谷奏がアシスタントとして参加しました。
受講者は東青山小学校に通う児童とそのご家族たち、計21名。
まずは、ペアで手のひらを合わせ、ひとりが先導して自分の手を動かし、もうひとりは重ねた手の感覚を頼りに相手に合わせて動きます。
はじめは手のひらの感覚ではなく、頭で予測して相手よりも先に動いてしまいがち。ここで重要なのは、最初に手を合わせたときの微細な感覚を失わずに手のひらの熱や圧などから相手の動きを読み取って動くことです。
このように「皮膚感覚」を意識して動くことは日常生活でほとんどないかもしれませんが、Noismの舞踊家は一つ一つの動きに対して皮膚レベルで様々な意識を張りめぐらす訓練をしています。参加者のみなさんも、手のひらの皮膚感覚への集中から全身に繋がる動きを通して、普段とは違う身体への意識を感じていただけたのではないでしょうか。
休憩をはさんで後半は、来月の「Noism2定期公演」で再演する、金森穣演出振付の『火の鳥』をやってみることに。「火の鳥」と「少年」がペアになって踊る場面の一部分です。
はじめに中川と池ヶ谷がお手本を披露。参加者の皆さんは間近で見る舞踊家の動きに拍手を送りながらも、「今からこれをやるのか…!」と驚いていましたが、一気にすべての振りを伝えるのではなく、細かいポイントに分けて少しずつ振付を覚えていきました。
「この動きは希望があふれるような気持ちで!」など、一つ一つの動きを丁寧に理解していくことで、それぞれのペアが相手の動きを感じながらのびのびと動き、「表現」になっていきました。
振付の最後はペアでお互いを抱きしめて終わり。最初は照れていた子どもたちも、身体を動かしていくなかで徐々に気持ちと身体がほぐれていくのがよくわかりました。
ただ決まった振付として動くだけではなく、振りの中にある感情や気持ち、相手とのかかわりをイメージすること。イメージはやがて表現になり、その表現がまた新しいイメージへとつながります。最後の発表の場面では参加者の皆さんそれぞれの表現がたくさん生まれていました。
今回のワークショップでは、日常ではあまり意識しない身体の微細な感覚を呼び覚ましたり、相手の動きや感情、振付の意味をイメージしたり、なかなかハードな内容でしたが、参加してくださった皆さんは舞踊家が普段どのようなことを意識して舞台に立っているか、その一端を感じていただくことができたのではないでしょうか。
また、親子で参加するワークショップということで、大人や同年代の子どもだけで行うワークショップとはまた異なる、参加者の皆さんの“親子の身体の距離感”に講師を務めた舞踊家たちも刺激を受けました。
親子でからだに向き合ったこの時間が、参加してくださった皆さんにとって有意義な機会になったことを願っています。
東青山小学校PTAの皆さん、ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。