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REPORTS

バレエミストレスコラム
−カルメン再演への物語 第5話

Noismバレエミストレス真下恵が、創作の日々の中からお届けするコラム。
ある時は演出振付家の隣でメモをとり、またある時には舞踊家たち一人一人に客観的視点からアドバイスし、リハーサルを見つめ続けてきたミストレスだからこその目線で時折綴ります。
 

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「バレエミストレスコラム−カルメン再演への物語」第5話 2016.02.01


 

新潟千秋楽が終了いたしました。
ご来場いただいた皆様ありがとうございました。
舞踊家、スタッフ一丸となり最後まで集中力のきれることのない良い舞台だったと思います。
お客様からもたくさんの拍手とブラボーの声援をいただきました。本当にありがとうございます。
 

いつも本番前には”ダメだし”という、演出家からの注意点、改善点が舞踊家にだされます。
例えば首の角度、例えばジャンプの高さ、例えば足の踏み方など、一見すれば本当に細かいものです。
舞踊家はそれらをひとつひとつ見直し、その日の本番に挑みます。
 

ただ、そのダメだしが出される中で舞踊家が一番に理解しなければならないことがあります。
それは演出家がそれによって何を表現したいのかをつかむということ。
例えば「最後の一歩をもっと強く踏め」というダメだしの場合、それは単に動きとして「強く踏む」ということができればよいわけではなく、その「強く踏む」という行為によって、権力やそのキャラクターの気の強さを全身で表現する、という演出家の意図があります。
そこを履き違えると、いくら言われたことを忠実にこなしても中身のない空っぽな舞踊になってしまうものです。
やっていることはまったく一緒でも、それをつかんでいるかいないかは怖いほどに歴然と見えるもの。
特に今回のような”劇的舞踊”では、その舞踊によってその役の本質をお客様に届けられなければ意味がありません。
 

本質をつかむ才能というのがあります。
言われたことの意味をすぐに理解して表現できる舞踊家と、何度も言われ何度も繰り返し行うことでようやく自分のものにしていく舞踊家と。
 

そういった意味で、新潟千秋楽はすべての舞踊家がそれぞれのキャラクターの本質を掴み、咀嚼し、そして演じきった公演となったのではないでしょうか。
 

今週からは一旦カルメンのリハーサルはお休みし、6月に初演予定の新作、劇的舞踊『ラ・バヤデール』の稽古に入ります。
そして来週からは平行して『カルメン』神奈川公演に向けての稽古が始まります。
少し間をあけることでまたそれぞれのキャラクターの深みがますことでしょう。
 

劇的舞踊『カルメン』(再演)神奈川公演、まだお席には余裕がございます。
ぜひ劇場に足をお運びくださいませ。
KAAT神奈川芸術劇場でお待ちしております。
 

Noismバレエミストレス 真下恵

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