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バレエミストレス真下恵による「ハコ噺」第13話

Noismバレエミストレス真下恵が『箱入り娘』創作の日々の中からお届けする小噺、「ハコ噺(ハコバナシ)」。
ある時は演出振付家の隣でメモをとり、またある時には音響卓を操作して音を出し、さらには舞踊家たち一人一人に客観的視点からアドバイスし、《かかし王子》の楽譜を片手に拍子を数え…リハーサルを見つめ続けてきたバレエミストレス。
国内での全21回の公演を終え、更に韓国・ソウル公演を目前に控えた今、ミストレスだからこその目線で綴る「ハコ噺」再開!
 

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「ハコ噺」第13話 2015.09.08


お久しぶりのハコ噺です。
新潟公演最終日から早いもので1ヶ月経ちました。
 

その間Noismでは、「Noism2×永島流新潟樽砧公演」、「Noism1メンバー振付公演」、Noism0『愛と精霊の家』…と「水と土の芸術祭2015」に関連した盛りだくさんの公演とNoismサマースクール等々に取り組んでおりました。
また、この夏は、金森穣がアーティスティック・ディレクターを務める新潟で初めての国際舞踊祭「NIDF2015-新潟インターナショナルダンスフェスティバル」も実現し、韓国・大邱市立舞踊団と中国・City Contemporary Dance Companyの皆さんもお迎えすることができました。
 

そして本日より『箱入り娘』韓国・ソウル公演のリハーサルのため、箱入りキャラクターたちがスタジオBに戻ってまいりました。
久しぶりのはずなのに21公演分踊ってきた身体には確実にそれぞれのキャラクターたちの動き、息遣い、眼差しが彫り込まれていて、今日のリハーサルでメンバーたちを見ていると、それをなぞるように身体が勝手に動いているようでした。
そんなメンバーたちに久しぶりに金森監督の叱咤激励が飛び、個々がそれぞれに改めて自分の表現と向き合う時間となりました。
 

さてここで、これまでの「ハコ噺」でまだ紹介しきれていなかったメンバーについてお話ししたいと思います。
 

◇梶田留以◇
3年間のNoism2での研修を経て、昨年からNoism1メンバーに昇格しました。
前作『ASU』で初めて彼女をご覧いただいたお客様からは、「印象に残った」という声も複数いただきました。
それは、単に高身長で手足の長い容姿と「新人」としての意気込みからということではなく、研修生としてNoismメソッド/バレエの鍛練を続けてきてこそNoismの舞踊家と成り得ることのひとつの表れだったのではないかと思います。(もちろんまだまだ訓練が必要なのですが)
今回は、ご覧になった方々はご存知のとおり、「deザイナー」として冒頭のシーンで台詞にも挑戦しています。
アフタートークでも何度か質問いただきましたが、あの台詞は梶田の出身地、福島の方言です。
韓国公演でももちろん、冒頭はあの方言で始まります。(字幕がありますが)
どのような反応が返ってくるか、とても楽しみです。
余談ではありますが彼女の福島の実家では、猫を26匹、犬を2匹飼っているそうです。
 

◇佐藤琢哉◇
小さい頃にクラシックバレエを始め、バレエの基礎のある彼は、今回の作品の映像の中でも綺麗なアラセゴンターンを披露しています。
しかしながら、昨年からNoism1のメンバーに加わった彼にとって、この一年は相当大変だったことと思います。
なぜならNoismの舞踊家としての身体性、つまりは演出振付家・金森穣の求める身体性、身体の強度は、短時間で得られるものではないからです。
毎日毎日自分の身体と向き合って、集団で稽古をする日々を重ねることで初めて培われていくものだからです。
身体はきちんと向き合えば、そして優れた指導者がいれば、どんどん進化します。
国内での21回公演を経た今、彼の背中は初演時よりも確かにたくましくなっています。
今回、Ne(e)Tという「主役ってか!?」の大役を任されて、今まで経験したことのない領域に足を踏み入れた佐藤琢哉。これからに期待です。
 

◇上田尚弘◇
昨年より準メンバーとしてNoism1に加わり、正式メンバーと共に稽古を続けてきた上田は、前作『ASU』の第一部『Training Piece』でNoismデビューを飾りました。
準メンバーは、給料が支払われることなくNoismの活動に参加するので、生活費は基本的にリハーサル終了後の合間を縫ってのアルバイトや貯金などで賄うことになります。
文字通り朝から晩まで訓練とリハーサルを続けるNoismの活動においては、それは生半可な気持ちで続くものではありません。
私自身も、正式メンバーになる前は準メンバーを経験してきたので、それが精神的にも体力的にもいかに大変かをよく知っています。
ただあの時代があったからこそ、今の自分があるということも確かです。
今回、「欅父」という役を得て、更に来シーズンからは正式メンバーへの昇格が決まりました。
これからこの経験を経て彼がどのように成長していくか、楽しみです。
 

いよいよ今週末には韓国に向けて出発します。
この残り4日間で、自分がよく知っていると思っている身体からもう一歩抜け出し、一回り成長した『箱入り娘』を韓国のお客様たちにお届けできるよう、さらに高みを目指します!
 

Noismバレエミストレス 真下恵

私たちはNoismの活動を応援しています。