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REPORTS

高校ダンス部向けワンデイスクール

 

3月5日(日)、平成28年度新潟市踊り文化推進事業の一環で、
高校生ダンス部員対象のワンデイスクールがりゅーとぴあスタジオBで行なわれました。
市内9校の高校ダンス部員の中から選抜された約30名の学生達が集まり、90分間のレッスンを体験してもらいました。

 
このワンデイスクールは今年度で3回目。2回目の参加という学生も数名いましたが、ほとんどが初めての参加となりました。
講師は、Noism1の中川賢を中心にNoism1メンバー全員が務めました。

 

冒頭では普段Noismメンバーが行っているNoismメソッドの一部も取り入れた、ウォームアップを行ないました。
まずは自分の身体の隅々まで意識を向け、目線、頭の位置、腕の位置、指先の感覚なども確かめながら徐々に身体をほぐしていきます。

 

 

今回のワンデイスクールでは、2月末に国内公演を終えたばかりの『マッチ売りの話』+『passacaglia』の中から、
第2部『passacaglia』の冒頭で石原悠子が踊っていたシーンの一部をやってみることに。

 

実際に踊っていた石原自らが高校生の前に立ち、目線や、意識等丁寧に振付を教えていきます。

 

目の前のプロの舞踊家を前に、学生のみなさんは少し緊張しながらもまずは振りを覚えるのに必死な様子。

 

この振付は、舞台奥の幕から舞台上へ歩いて登場するところから始まります。

歩くだけなら簡単な振付と思われがちですが、その最初の1歩ですべてが決まると言ってよいくらい、
舞台上への現れ方、足のつき方、手の出し方、目線、身体の向き、角度、など様々なことへの意識が必要です。

 

最初は、振りを覚えるだけで必死だった子たちも、講師からのアドバイスで表現や動きに少しずつ磨きがかかっていきました。

 

講師の中川は「舞台へ一歩踏み出すときに、暗闇から明るいところに出ていくイメージを持ったり、
死んでいたところから、生き返るくらいのイメージを持ったり、一歩踏み出したら違う自分になるようなイメージを持ったり、、
まずはイメージを膨らませることで、また違った表現が生まれるよ」とアドバイス。

 

「自分で動こうとするだけではなく、誰かに押されて足が一歩出るとか、何かにぶつかりそうになってよけるとか、
何かに対して身体が反応するという感覚を持って動くことも大切」だと伝えます。

 

参加した学生の皆さんはとても素直で、講師の言葉を真摯に受けとめて踊ろうとしている様子が見てとれました。

 

指導するメンバーも、一人ひとりに細かいアドバイスをし、熱が入ります。

 

実際にこの振付を踊っていた石原からは、
「早く動かなければ音に間に合わない部分は特に、プリエ(膝を曲げる動き)を忘れがちですが、
滑らかに動くためには、ここでしっかりプリエをするように」と、
振付の細部にある細かなテクニックを学生たちに伝授。

 

Noismの作品ではわずかな音の中に、沢山の振付が複雑に組み込まれており、
ワークショップ等で参加者の皆さんが実際に舞踊家が踊っていた振付をやってみると予想以上に大変なことを実感することと思います。

限られた音の中で、どこにアクセントをつけるのか、どこを一番見せたいのか、どのようなイメージを持って動くのか、
舞踊家は与えられた振付を自分の中に落とし込み、何度も模索を繰り返し、踊りの強度を高めていくのです。

 

 

スクールの最後には、少人数に分かれて伸び伸び踊りました。

「まずはイメージを自分の動きに還元していけるよう、間違えてもよいので大きく動きましょう」との講師のアドバイスどおり、
徐々に自分の表現を見つけていく学生たちの変化も印象的でした。

 

このワンデイスクールが学生たちにとって少しでも今後の糧になれば嬉しく思います。

私たちはNoismの活動を応援しています。