Noismバレエミストレス真下恵が、創作の日々の中からお届けするコラム。
ある時は演出振付家の隣でメモをとり、またある時には舞踊家たち一人一人に客観的視点からアドバイスし、リハーサルを見つめ続けてきたミストレスだからこその目線で時折綴ります。
「バレエミストレスコラム−カルメン再演への物語」第1話 2016.01.22
「よくできた作品だ・・・。」
それが先週末スタジオで最後の通し稽古を見終わって、まず純粋に思ったことでした。
バレエミストレスとしてでも初演のときに出演した一人の舞踊家としての感慨でもなく、「一観客として、心が躍り心が泣き感動する喜びに浸ることができる作品だ」と確信しました。
あらためて、舞台芸術は無限の力を持っていると。
なぜそこまで感動するのか?
それは目線や歩き方など細部の細部まで演出にこだわりぬいた結果であり、なにより一人一人の役に対する解釈を時間をかけて深めていったからなのでしょう。
再演だからこそより深く、より濃く、より強く観る人を魅了します。
舞踊家は、常に昨日の自分との闘いを続けています。
昨日よりも少しでも前へ、少しでも高みへ。
一人一人がそれを毎日毎日毎日続けてきた結果、初演に比べ確実に作品としての強度があがり、どの瞬間を切り抜いてもそこは「カルメン」の空間で埋め尽くされることになるのです。
メインのキャラクターはもちろん、周りに立つ街娘、ジプシーたち一人一人によってその空間は生み出され、それらが集団として成立して初めて、「カルメン」の世界に絶対的な説得力が生まれるのです。
そしてこれはNoismという集団だからこそできること。
日本で唯一の劇場専属舞踊団として世界に誇れる作品をただいま絶賛準備中です。
まもなく新潟で、幕があがります。
どうぞお見逃しなく!
Noismバレエミストレス 真下恵