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バレエミストレス真下恵による「ハコ噺」第11話

Noismバレエミストレス真下恵が『箱入り娘』創作の日々の中からお届けする小噺、「ハコ噺(ハコバナシ)」。
ある時は演出振付家の隣でメモをとり、またある時には音響卓を操作して音を出し、さらには舞踊家たち一人一人に客観的視点からアドバイスし、《かかし王子》の楽譜を片手に拍子を数え…リハーサルを見つめ続けてきたバレエミストレス。
8月1日まで続く公演の様子を、ミストレスだからこその目線で時折綴ります。
 

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「ハコ噺」第11話 2015.07.17


今回の「ハコ噺」も前回に引き続き、メンバーについてお話します。
 

◇チェン リン イ 簡麟懿◇
彼がNoismに入るきっかけとなったのは、6年前のNoism1『NINA』台湾公演でした。
あの大きな劇場の真っ赤な客席のひとつに一人の10代の青年が座っていて、その青年がその公演を観てNoismの舞踊家を志すようになり、今カンパニーメンバーとして踊っている。
それは純粋に嬉しくもあり、同時に、初めて海外出身のメンバーが加わったことは、新潟から世界を見据えて活動を続けてきたNoismにとっても大きな一歩になった出来事だったと思います。
大柄でダイナミックな踊りに彼の優しく穏やかな性格が加わり、今回の「湖母」という役は彼の新たな一面を開花させた”はまり役”でしょう。
この「母」を観て彼のファンになったという方も多いと思います。
とは言っても、やはり女性を演じるということは大変で、特に今まで履いたこともないような大きなスカートで踊るというのはかなりのコントロールが必要なようです。
しかしそれも同時に彼にとっては新たな挑戦であり、これを糧にまた大きく飛躍していくことでしょう。
公演パンフレットの出演者Q&Aでも、日に日に上達している日本語で、はじめてこの役名を聞いたときの気持ちを綴っていますので、ぜひそちらもご覧ください。
 

◇石原悠子◇
「職人型舞踊家」です。ひとつ課題を与えたら、黙々とそれに取り組みます。
優れた舞踊家に求められることは何かというと、たくさんジャンプができるとか、たくさん回れるとかは実はそれほど重要ではありません。
それよりも、作品の中で自分に与えられた役や自分の身体・動きにどれだけ執着できるか、そしてそれをどれだけおもしろがって、舞台でたくさんの観客の前でそれを示せるかという方が大切です。
「もっとこうできるかもしれない、もっとこうやりたい」
そういう願望が舞踊家を成長させ、観るものを惹きつけます。
Noismの舞踊家として更に高みをめざすには、彼女にもまだまだたくさんの課題がありますが(そもそもたとえどこまで行ったとしても課題がなくなるなんてことはありえないのですが)、彼女は常に己に課題を課し、ストイックにそれに立ち向かうしなやかな根性を誰よりも持っています。
悠子扮する「老魔女」には、杖の持ち方ひとつをとっても、そんな彼女の執着が潜んでいます。
ぜひご注目ください。
 

今週末はいよいよ金沢公演です。
3年前の『Nameless Voice~水の庭、砂の家』以来の金沢。
21世紀美術館という特殊な場所、そして金沢のお客様を前にして、また新しい『箱入り娘』が生まれることでしょう。
皆様、お待ちしております。
 

Noismバレエミストレス 真下恵

私たちはNoismの活動を応援しています。