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バレエミストレス真下恵による「ハコ噺」第7話

Noismバレエミストレス真下恵が『箱入り娘』創作の日々の中からお届けする小噺、「ハコ噺」。
ある時は演出振付家の隣でメモをとり、またある時には音響卓を操作して音を出し、さらには舞踊家たち一人一人に客観的視点からアドバイスし、《かかし王子》の楽譜を片手に拍子を数え…リハーサルを見つめ続けてきたバレエミストレス。
8月1日まで続く公演の様子を、ミストレスだからこその目線で時折綴ります。
 

jo back (Medium)

 

「ハコ噺」第7話 2015.06.16


新潟公演前半、大盛況のもと無事閉幕いたしました。
ご来場いただいた皆様、ありがとうございました!
 

さて、スタジオ公演は劇場公演に比べ公演回数が多く、舞踊家への負担もより多くなります。
公演を重ねるごとに無駄なものがそぎ落とされ、演出家が意図するものがより明確にお客様に伝わりやすくなるのは確かです。
ただ、その中でどうしても動きが予定調和になってしまい、なにより自分も知らぬうちに己の限界をいつのまにか作り出してしまいます。
新潟公演前半最終日、そんな舞踊家たちに開演直前まで演出振付家・金森穣の厳しい言葉がとびました。
 

「”かたち”じゃないんだよ。”かた”なんだよ。”かた”ってのはエナジーの通り道なんだよ。」
「お前がやってるのはただの”かたち”。命がない。そのポーズに命を吹き込まなきゃ意味がないんだよ。」
「動きには対象があるんだよ。セリフなんだよ。」
「足を後ろに出すことで語れって!語らない動きなんてないんだよ。」
「輝けよ!一秒一秒!」
「ザ・モーメントだよ!掴めよ!客を!」
「Use your body!!!」
 

人の才能を引き出すのもまた才能。
目の前で舞踊家たちが己の壁を越えようと必死にもがきながら、金森穣の言葉に食らいつきます。
そして確実にみるみる動きが変わっていくのです。
 

「俺がやってるのはただの言葉だけなんだからな。本当はお前たちが自分でやっていかなきゃならないんだぞ。」
 

そして、もちろんバレエミストレスである私も、動きの本質を掴みその舞踊家が一番輝ける方法を模索していかなければとあらためて身が引き締まりました。
 

とにかく、全員が感じたことはこれまでの7公演を経て今ようやく始まった『箱入り娘』があるということ。
新潟Noism『箱入り娘』来週からは神奈川KAATに乗り込みます。
 

乞うご期待!!
 

Noismバレエミストレス 真下恵

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