新潟市で昨年度からスタートした「踊り文化推進事業」の一環として、かねてからの目標のひとつだったNoismの学校出前公演が実現。
11月17日から19日の3日間、新潟市内の中学校でNoism2が出前公演を行いました。
新潟市の抱える舞踊団だからこそ、「市民の誰もが1回は観たことがある、1年に1回は劇場に観に行く」ようになることは、我々Noismの念願のひとつでもあります。
そのためには、小さな頃からより質の高い作品を観る機会があることがとても大切です。
その第一歩として、Noismの公演を若い学生たちにこそ観てもらい、実際に肌で感じて何かを得てもらいたいという思いから始まったこの出前公演。
今回は、新潟市立東石山中学校、上山中学校、葛塚中学校の計3校に伺いました。
今年の夏「水と土の芸術祭2015」の参加作品として、日本海を背にした旧二葉中学校グラウンドを会場に上演した『赤降る校庭 さらにもう一度 火の花 散れ』を学校公演用に改訂。
新潟の伝承楽器である樽砧とNoism2のコラボレーションとして、永島流新潟樽砧伝承会による生演奏とかがり火の中での野外公演だった夏の初演と、学校の体育館とでは環境も大きく異なります。
Noism2専属振付家の山田勇気が、パンスヘルミア説-赤い雨にまつわる生命の起源についての仮説から着想を得て振り付けたこの作品。
開演前には、「目の前に存在する舞踊家の身体から溢れるエネルギー、生命をぜひ肌で感じてください」と山田が挨拶。
上演中は、舞踊家の動きや演出に魅せられて身体が自然と動いている人や、一生懸命見ようと体育座りのまま身体を乗り出しながら見てくれる人もいました。
最初の会場である東石山中学校では、夏の公演で競演した永島流新潟樽砧伝承会の若手メンバーの1人が在学中で、上演後に特別に樽砧の生演奏も披露してくれました。
いずれの学校でも、上演後には山田勇気によるアフタートークも開催。
体育の授業では表現運動や創作ダンスなども行なわれていますが、ほとんどの生徒さんがこのような舞踊作品を生で見るのは初めてとのこと。
生徒さんからは「自分の想像していたダンスのイメージと違って、迫力がありました。」「踊りのキレがすごかったです。」「なんか、ヤバかった。」などの感想が聴けました。
「踊りの中で赤い布が出てきましたが、それは何を意味しているのですか?」という率直な質問も。
明確なストーリーや何か一つの正解があるわけではない舞踊作品を観るのは慣れない体験で、戸惑っている様子も見受けられましたが、だからこそ今回の経験で彼らの心に何かが残っていることを願います。
自分の感性を信じて、自分で感じて、自分で考えられるような大人になってほしいと思います。
そして、このような場で踊ることは、Noism2の若手舞踊家にとっても非常に貴重な経験でした。
作品のテーマやコンセプト、アイデア等とはまた別のところで、目の前に座る自分たちよりも少し年下の中学生たちに、自分の身体ひとつでそこに存在し、どれだけ圧倒的な印象を届けられるか。
今シーズンから加わった秋山沙和と西澤真耶の2人も、この学校公演でNoismデビューを飾りました。
新潟の子どもたちが中学校に在籍している間に必ず1回はNoism2がやってくる、そして、その子どもたちがNoism1の公演を観に劇場にやってくる、そんな環境をめざして、学校公演はこれからも毎年続けていく予定です。