2023年9月30日(土)視覚に障がいをお持ちの方を対象にからだワークショップを行いました。
参加者の皆さまからの熱い想いが重なり、今回で5回目の開催となりました。
初めての方、何度も参加してくださっている方、緊張とリラックスが混ざった空気の中まずは自己紹介。
そしていよいよ実践。今回も手を合わせるところから始まりましたが、その瞬間からスタジオの空気は全く異質なものに変わりました。
そこにあるのは、普段の舞踊家たちが全神経を張り巡らせてリハーサルに臨んでいるときに似た、非常に研ぎ澄まされた空間。
日頃から張りのある身体をつくるために鍛錬を積み重ねている舞踊家ですら緊張を覚えるほど、参加者の皆さまの手のひらは鋭く舞踊家たちの身体を捉えているようでした。
次に今年再演を控えている『鬼』のなかから冒頭の振付に挑戦。無音の中、重心を落とし、すり足でただすれ違う動き。
肩が触れるか触れないかの、ぎりぎり相手の温度を感じる距離でのすれ違いをどうしたら参加者の皆さまにも体感してもらえるか、実践しながら様々な方法を探りました。
最後は「アヴェマリア」に合わせて全員で舞いました。
⋯ 一人でいるところから始まり、引き寄せられるように相手と出会い、全身をこすり合わせて相手の温度を感じあう
やがてほかのペアとも絡み合い、より複雑に、けれども一つ一つ丁寧に感じ合いながらうねりは膨らんでいく
曲の最後は惜しみながらゆっくり相手と離れていく… ⋯
一曲のなかにそんなストーリーを浮かべながら思い思いに相手を感じ合う光景は非常に美しいものでした。
実践を終え、参加者の皆さまとNoismメンバー、見学の方も一緒に振り返りも行いました。
「緊張したが次第に気持ちよく動けた」
「より身体を使う動作をしてみたい」
「ほかの人の目で見て自分の身体は美しい形をとれているのか教えてほしい」
「次はこんな方法で挑戦してみたい」
などなど、参加者の皆さまの意欲と向上心が凄まじく、とても有意義な意見交換の場になりました。
“参加者の皆さまとともに回数を重ね、一緒に作っていく”
ここりゅーとぴあに根ざしている専属舞踊団だからこそできるワークショップの形が創られているように感じました。
ご参加いただいた皆さま、開催にご尽力いただいた関係者の皆さま、
本当にありがとうございました。
ワークショップ写真撮影:遠藤龍